新大学入試(大学入学共通テスト)

ずいぶん前にブログに書いていたものが見つかったので再びUPしておきます。

2017年5月16日に文部科学省が大学入試センター試験に代わって2020年度から実施する新テストの実施方針案を公表しました。

高校と大学の関係者から意見を聴き6月に実施方針をまとめるらしいですが、おそらく英語の試験を20年度に完全に切り替えるか23年度まで現行方式の試験を併用するか以外はほぼすべて決定事項になっていると思います。

方針が決まった後、現在の高校2年生の1部(5万~10万人)を対象にプレテストを行い、その結果を踏まえ2年後の19年度初めに実施大綱を策定するとのことです。

現時点で分かっている方針案をもとに、私が思ったことを書いておきます(6月に方針が公表されたら一部書き直します)。私個人としては今回の改革は全面的に賛成しています。途中で改善点を挙げるために批判的なことも書いています。

実施方針案

今まで「大学入学希望者学力評価テスト」とされていた名称が、「大学入学共通テスト(仮称)」になりました。

2019年をめどに実施大綱が策定されます。

今回は英語・国語・数学の3教科だけ変わります。地理歴史・公民や理科などは現行のテストが続くみたいです(2024年度以降の記述式やコンピューターで解答する方式の導入も検討)。

実施方針は「確定してはいないけれど、こんな感じで行いますよ」というもので、実施大綱は「もうこれで決まりです。実施趣旨はこうです。出題教科・科目はこうです。実施日・時間はこうですよ」と試験のすべてが確定的になったものと考えてください。

実施時期

実施時期はいま行われているセンター試験と同じ1月中旬の2日間になります。

1月中旬は雪がたくさん降ります。風邪・インフルエンザも流行します。受験には向かない時期です。

これらを考えると実施時期もいずれ変わるはずです。

アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、中国など9月入試が主流になっていることを考えると、それに合わせるかもしれません。

個人的には12月初旬がベストだと思っています。

作成

英語の試験は民間に委託されますが、国語と数学は大学入試センターが今まで通り作成するみたいです。

英語 

新テスト導入後4年間はマークシート式の試験が併用される可能性が高いですが、英検・TOEFL・TOEICなどの民間試験を活用(試験の素点と合わせ、国際基準規格「CEFR」(セファール)に基づき6段階で評価した成績を大学に提出)することがほぼ確実になりました。

受験回数は高校3年の4月~12月の間で2回まで、2回受けた場合は点数の高い方を利用。浪人生はどうなるか未定。

外部試験は英検・TOEFL・TOEICの3つ(ベネッセのGTECも稀に)が挙げられることが多い(実際は10の試験が認定される可能性がある)ですが、おそらく日本英語検定協会が運営する「TEAP」が新試験で最も利用される試験になると思います。理由は以下の通りです。

① TEAPは2015年度の大学入試から実施された始めた大学受験のための新しいテスト

② TOEFLは難易度が高く、受験料が2万5千円前後する(TEAPは1万5千円)テスト

③ TOEICは社会人用のテスト

※ 追記

5月21日(これを書いたのが17日)に「高校で大学入試に関係するからGTECを受けることになっている」と言ってきました。受けても無駄にはなりませんが、今の高校生がGTECを受けたとしても大学入試対策にはほとんどなりません。そもそも、九州でGTECを利用している受験できる大学はゼロです。

ベネッセとの関係で高校が高校生に受験させたのでしょうが、生徒に嘘をついてまで強制的に受けさせるのはどうかと思いました。生徒たちがなぜ学校とベネッセの癒着につき合わされなければならないのか…。

追記前の記事で「(GTECも稀に)」とカッコでくくって書いているのは、GTECがTEAP以上に超マイナーな試験で実際に大学入試でほとんど利用されていない現状を考えたからです。高校の先生もそれは分かっているはずなのに…。

もし、GTECをメジャー試験にしたいのであれば生徒たちに無料で受けさせるべきです。ベネッセのために生徒たちが数千円を負担しなければならないのは納得いかないです。

TEAP

上智大学と英検協会が共同開発をして2015年から実施された試験がTEPAです。TEAPは「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能評価が可能な試験で、2020年以降の大学入試が民間委託されることを見越して大学受験をする人のために作成された試験です。

英検というメジャーな資格試験があるのだから、大学入試のためだけに試験を急いで作る必要性はなかったはずです。にもかかわらず新しい試験を開発したということは「大学入試英語=TEAP」にすることを狙っているとしか考えられません。

歴史の浅い試験ではありますが、英検と上智大学は必死になって試験の研究を行うはずであること、他の資格試験と比較すると大学受験レベルでも受けられる難易度であること、実際に大学入試で導入され始めたことを考えればTEAPがこれからの大学入試でメジャーになる民間資格になるはずです。

TOEFL

TOEFLが大学受験に合わないのはその難易度です。普通の高校生が解けるような問題レベルではありません。進研模試で偏差値60以下の実力の人はもちろん、60以上でも日常会話すらできない人、論理的な考え方ができない人の実力判定は絶対にできません。

また、2万5千円前後の受験料します。低所得世帯の検定割引も検討されているみたいですが、TOEFL(実施主体はアメリカのNPO)と検定料の話し合いをするよりもTEAPと話し合う方が早いです。

TOEIC

TOEICは社会人を対象にした試験です。それを考えたらTOEICが多くの受験生が意識して選択する資格になることはほぼ考えられないと思います。

実際は

実際はTOEFL・TOEIC・英検・TEAPの全てが国により大学入試として認定されると思います。

しかし、ほとんどの受験生が英検・TEAPを利用するはずです。その後、TEAPが世間に浸透すればほぼ全員がTEAPを利用するようになると思います。

仮にTOEFLを必須とする大学があるとしても、東大・京大などの一部旧帝国大学に限られるはずです。

参考:TEAP

これからの英語の勉強

今後は英語の勉強に対する考え方を変える必要があると思います。

英検かTEAP

2017年5月現在中学3年生以下の人はマークシート式(現行のセンター)試験ではなく、TEAP(しばらくは英検)の対策をする必要が高いと私は考えています。

特に現在小学5年生以下の人は「読む」「聞く」だけでなく「書く」「話す」ことも入試で必須(現時点では必須にしている大学はほとんどない)になることも考えられます。

文法は不要?

このように書くと、今までの文法中心の勉強をしなくてもよいと思う人もいるはずです。そうではありません。文法に加えて「書く」「話す」ことまで要求されるようになると思ってください。

「『書く』はいいとして『話す』には文法など必要ない」と思うかもしれません。確かに、海外旅行に行って簡単な英語を一方的に話す程度なら文法は不要です。

しかし、大学入試(TEAP)で要求されるのは英語で「話す(英語で自分の意見を言う)」ことです。単語と単語をつなぎ合わせただけでどうにかなるようなものではありません。

英語を「話す」には、意外と思うかもしれませんが「書く」能力が大切になります。「書く」能力には文法知識が必要になります。つまり、「話す」には文法知識が欠かせません。

4択問題でわけのわからない難しい文法問題を解けるようになる必要はなくなりますが、基本的な文法事項を無意識レベルで使いこなせる能力が要求されるようになるので、今の入試よりも楽になるということは到底考えられないと思ってください。

英語の早期教育

「それじゃあ、英会話ができるように小さい時から英語を勉強させよう」などと思った方はいませんか。

英語を勉強させてもほとんど効果がないと思うのでやめた方がいいと私は思います。

英語で生活をする幼稚園に通わせたとしても、週に1・2回の英会話教室に小学1年生から6年生までの6年間通わせたとしても、一方的に話しかけることはできるようになりますが、会話はできるようになりません。

バイリンガルにさせたいと思うのであれば、アメリカンスクールに通うか海外で生活するしか方法はないと思ってください。

ごくまれに留学をしていないのに英語が得意な小学生などが話題になりますが、すべての子がそうなるわけではありません。例外中の例外だと思ってください。

参考:英語の早期教育

国語・数学

思考力・判断力・表現力を問う問題は、モニター試験の結果からセンター試験よりも簡単になることが予想されます。ですので、国語・数学で変化があるのは記述式が導入されることくらいだと思います。

国語・数学の変更点を簡単に書いておきます。

国語の出題範囲は「国語総合(古文・漢文除く)」試験時間はマークシート式と合わせ100分程度、設問で一定条件を設定し、それを踏まえて解答する「条件付き記述式(解答字数80~120字程度を含め3問程度)」。

数学の出題範囲は「数学Ⅰ」試験時間はマークシート式と合わせ70分程度。

従来型のマーク式問題は得点、記述式は3~5段階で評価する。採点は民間業者に委託する。

これくらいです。

大学入試センターが公表しているモデル問題

問題点

知識偏重の勉強に終止符を打ち、グローバル社会で求められる思考力・判断力・表現力を評価するテストへの切り替える入試改革が30年ぶりに行われます。

改革に伴い、いくつかの問題点が浮かび上がります。

記述式における採点の公平性

当初、大学側が採点するとされた案が、採点する人員の確保や、2次試験との日程調整が難しくなるという理由から採点が民間委託されるようになりました。この時点で公平性をどのように担保するのか疑問になります。

採点はマークシートと異なり、人の手でされます。国立大学入試は複数の人(先生)が採点に関わることで公平性を確保できますが、民間会社が同じようなことができるかは疑問です。

誰が採点しても同じような点数になるようになる採点基準を設けると言われても、何十万人もの答案を平等に採点できるわけはないと思います。

難易度

少なくとも国語の記述式(上にモデル問題のリンクを貼っているので参考にしてください)は、対策さえすれば中学生3年生でも答えられるような問題です。果たして思考力・判断力・表現力をどの程度測れるのか疑問です。

数学は「数学Ⅰ」が出題範囲なので、難関大学を目指している人は全員満点に近い点数を取れるはずですし、「公園の銅像が最もよく見える角度を調べる」というような日常に絡めた問題が出されたからといって今まで通りの勉強をしていても解けます。

問題が簡単になりすぎて能力差を見分けることができなくなる可能性も考えられます。

新大学入試はどうなるか

共通テストに加えて、これまで4割程度の国立大学でしか実施されていなかった200~300字の自由記述問題を全大学で導入することが決まっています。この決定から推測すると、国立大学は2次試験重視の傾向が強まる可能性があります。

もしかすると2次試験に面接試験が導入される可能性も否定できません。もし、そうなると、これまでの知識を付ける勉強に加え、英語や共通テストの対策が必要になり、さらにコミュニケーション能力(人に自分の意見を分かりやすく説明する能力)を高める訓練もしなければならなくなります。

推薦入試は

書類・面接などで先行するアドミッション・オフィス(AO)入試を「総合型選抜」、推薦入試を「学校推薦型選抜」と名前が変わるみたいです。

いずれの試験も学力を判断する試験の実施が義務付けられる方針になっているので、難関大学に合格するのは今まで同様難しいことに変わりはないはずです。