国立高専機構のHPとパンフレットをもとに高専について簡単にまとめています。

平成27年5月1日のデータが最新のものが多く、少し情報が古いです。

23年度から27年度の5年分のデータを見る限り大きな変化は見られないので、平成30年(2018年)も大きな変化はないと思われます。

    学費

    学費は全国一律です。

    入学料は2018年現在84,600円、授業料は年額234,600円で1~3年次までは高校と同様の「就学支援金制度」を受けることができます。

    授業料のほかに、後援会費・教科書代・その他諸経費が10万~15万円は必要になるみたいなので、初年度は50万円近く必要になるみたいです。

    2年次以降は教科書代が少なくなるので初年度よりは負担が減るらしいです。

    その他、自宅から通学する人は交通費、寮に入る人は寮に掛かる費用があるので金銭的なことが気になる場合は事前に自分が志望する高専のHPで確認してください。

    修業年限

    修業年限は、本科5年(商船学科は5年半)です。

    卒業をすると準学士の称号を得られ、大学編入も可能になります。

    なお準学士は教育課程において、短期大学の短期大学士、専門学校の専門士と同程度の扱いをされます。

    学ぶ内容

    普通の高校で学ぶような数学・物理・化学・国語・外国語も学びます。

    • 機械系学科 材料系学科
    • 電気・電子系学科
    • 情報系学科
    • 化学・生物系学科
    • 建設系学科
    • 建築系学科
    • 商船系学科
    • 社会的ニーズに対応した分野の学科

    上記の3~7学科が各高専に設置されていおり、学んだことを応用する能力を身につけるために、理論だけではなく実験と実習に重点が置かれていると機構のHPにありました。

    学科再編

    ここ数年、多くの高専が学科再編をしています。

    複数の学科を1学科に再編し、進級時にコース分けをするというところが増えてきています。

    ですので、再編がさらに進めば「入学したら自分がやりたいものと違った」というミスマッチが起こる可能性が今後は減ってくるはずです。

    私の塾の卒業生にも高専に進学した子の1人は、1年は一般科目が多いけれど、学年が上がると専門的なことを学ぶようになるのでとにかく面白いと言っていました。

    卒業後の進路

    就職する人が約60%、大学に編入する人が約25%、専攻科に進学する人が約15%いるみたいです。

    就職

    就職は求人倍率が10倍~25倍にもなり、大半が製造業でエンジニアになるみたいです。

    製造業の次に多いのは情報通信業・建設業です。

    大学生よりも専門的な技術を学ぶことができるので即戦力を期待されるらしく、就職に困ることはほぼないと聞きました。

    大学に編入

    平成27年度は進学者3,481名中2118名が大学へ進学しています。

    なお、大学に進学する約30%が長岡技術科学大学、豊橋技術科学大学のいずれかの大学に進学をしています。

    この2つの大学への進学者が多いのは高専卒業者のために設立された国立大学法人だからです。

    この2つを除くと千葉大学、九州工業大学、東京農業大学、筑波大学などへの進学が多いです。

    中には東大・阪大・九大にも進学をしている人がいるので、普通の高校に進学してもこれらの大学には合格できないと思っている中学生にとっては、高専は魅力のある進学先かもしれません。

    編入試験

    高専からの大学編入は一般の大学編入試験だけではなく推薦で編入試験を受けられることもあります。

    学校で推薦をもらうことができれば(基準は各高等専門学校によって異なる)、一般の編入より当然合格しやすくなります。

    ただし、編入は簡単ではありません。

    つまらない5教科を勉強しなくていい代わりに、専門的な知識は必要になります。

    また、一般の大学編入をする場合は英語も必要になる場合がほとんどなので英語の勉強は避けられないはずです。

    専攻科へ進学

    平成27年度は進学者3,481名中1,368名が専攻科へ進学しています。

    専攻科(高専卒業後2年間在籍する教育機関)を修了すれば大学評価・学位授与機構の審査を経て、学士の学位を取得できます。

    学士を取得すれば大学卒業と同等に扱われるため、大学院を受験することも可能になります。

    実際に、専攻科を修了した人の33%くらいが大学院に進学しています。

    進学先は九州大学・東京工業大学・東北大学が比較的多く、大阪大学大学院・東京大学大学院に進学している人もそれぞれ10数名います。

    入試問題はそこまで難しくない

    高専に合格するのは普通の公立高校と比べたらかなり難しいです。

    しかし、どの科目も問題自体はそこまで難しくありません(難しくないといっても福岡県の公立高校入試よりは難しいです)。

    高専に合格するのが難しいのは問題の難しさではなく、制限時間のわりに問題数が大量にあるからなんです。

    英語に関しては英語を英語のまま訳すことができなければ、時間内に高得点を取ることは不可能です。

    よほどの実力がなければ対策なしで合格するのは難しいので、塾に通わず高専を受けようとしている子は早い段階で過去問を解くことを勧めます。

    後は

    内申点が合否に影響することも合格を難しくしています。

    中学1年のころからの内申点が合否に大きく関係してくるので、中学3年になってから必死に勉強をして実力をつけても合格1・2年の内申点が悪ければかなり不利になります。

    メリット・デメリット

    高専卒業後専攻科に進学すれば学士を取得するのに200万程度で済む(私立高校・私立大学に進学すれば1000万円前後は必要)。

    無駄な受験勉強をせず専門的なことを勉強して国立大学に進学できる。

    この2点が大きなメリットだと思います。

    大学受験のために受験勉強に必死にならずとも、自分が好きなことをやって難関大学に合格でき、しかも金銭的負担が少ないとくれば、理系の勉強が好きな中学生にとって最高の進路かもしれません。

    デメリットは進学した後に高専で学ぶ内容が自分に合わなかった場合だと思います。

    最近は学科再編をする高専が増えてきたので選んだ学科が自分に合わないということは減ってくると思いますが、再編がされていない高専は学科選びには慎重になるべきです。

    また、クラス替えがない高専はクラスにうまく溶け込めなければ卒業するまで地獄になるかもしれません(中学の時にクラスの仲間とうまくかかわることができているならクラスに溶け込めないということはないはずです)。

    また、一般科目もその進度が早いらしく、授業についていけなければ卒業どころか進級ができない場合もあるみたいです。

    真面目にしていれば救済措置に救われることがほとんどらしいですが、普通の高校と比べると進級は難しいと思います。

    学校一覧

    国立高等専門学校は全国に51校あります。

    学級数は232学級で在学生数は約4万9千人(平成28年度)です。

    なお、高専の偏差値をいろいろなサイトで見ますが、それらはすべて当てにならないと思います。

    高専によっては推薦で半分も合格者を出すところもあるので、推薦で合格している人は偏差値60とされているところに偏差値55くらいでも合格できているはずです。

    逆に一般入試で受験すれば偏差値60とされているところに偏差値65で不合格になる人も多くいるはずです。

    そもそも、高専の偏差値はどの模試を基準にされているのかも不明です。

    仮に各地域で行われている公立受験のための模試であれば、高専の問題と難易度があまりにもかけ離れているので参考になりません。

    偏差値は気にせず、過去問を基準に対策をしてください。

    学校の先生に過去問で何割くらいとれば合格の可能性があるかを教えてもらい、それを目標に頑張ってください。

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