2016年3月に公表された「高大接続システム改革会議」の「最終報告」が公表されました。

このページでは、「高大接続システム改革会議」を読み取り、今後大学入試で要求される可能性が高い能力について書いていきます。

なお、「最終報告」とありますが、実際はまだまだ中途半端で生煮え状態で、多くのことが「検討中」になっています。詳しくは文部科学省のサイトを見てください。

参考:文部科学省

新しい2つのテスト

現在考えられている新しいテストです。

高等学校基礎学力テスト

「高等学校基礎学力テスト(以下、基礎テ)」というテストが2019(平成31)年度からスタートします(2022(平成34)年度までは試行実施期)。

「基礎テ」は、高校生が最低限の学力を身に着けさせることを目的に実施されます。

「基礎テ」で、高校生の基礎学力の定着度を把握するだけでなく、その結果をもとに学校の先生が、受け持っている高校生に何をすべきかを把握させるために利用していくと思われます。

このテストは、現在中学生が行っている「学力定着度調査」の高校生版と思ってくれればイメージしやすいと思います。

最初、「高大接続システム改革会議」では「基礎テ」も大学入試に利用しようという意見でした。しかし、少なくとも2022年度まで利用しないことが「最終報告」で明示されました。

2019年度は英語、数学、国語の3教科が実施されることが決まっています。出題範囲は共通必修科目の「コミュニケーション英語Ⅰ」「数学Ⅰ」「国語総合」を上限になるみたいです。

なお、実施時期や回数、対象の学年、実施する科目数は各高校で判断してもよいことになりそうです。

テストの受け方はコンピューターを利用することがほぼ確定しているみたいです。

しかし、どのような形で実施されるのかはまだ分かっていません。もしかしたら、2019年度にはすべての高校生にタブレット端末が配布され、それを利用して学校で受けるようになるのかもしれません。

施行実施期はテスト結果を大学入学者選抜や就職には原則として用いないので、実質的には2006年4月以降に生まれてきた子が基礎テを初めて利用することになるらしいです。

大学入学希望者学力評価テスト

「大学入学希望者学力評価テスト(以下、入学テ)」は大学進学希望者が受けるテストです。

「入学テ」が現在のセンター試験(2020年1月に廃止)に代わるテストと想定されています。

「入学テ」は「知識・技能」だけでなく、大学入学段階で求められる「思考力・判断力・表現力」を中心に評価されるようになると考えられています。

現在のセンター試験のようにトップレベルの生徒が受けたら能力差が分からなくなるような簡単な問題ではなく、個人の能力差が分かるようなテストにすると考えられています。

また、現在のセンター試験のようにマークシートだけではなく、記述式や新しい形の出題(検討段階)がされるみたいです。

実施回数は「最終報告」では年間1回になるとされました。

新しい入試に向けてやるべきこと

さて、このように大学入試が変わっていきます。

現時点では「検討」という言葉が使われ、実際にどのようなテストになるのかは確定していません。

しかし、旧帝国大や早慶上智・MARCH・関関同立やスーパーグローバル大学に選ばれた大学に進学するには、今の入試制度のように「知識さえあれば良い」ということわけにはいかなくなるはずです。

今後の入試制度を考え注目すべきことは、学習指導要領に示されている「学力の三要素」だと私は思っています。

「三要素」は次の通りです。

  • 基礎的・基本的な知識・技能
  • 知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等
  • 主体的に学習に取り組む態度

知能・技能

「基礎的・基本的な知能・技能」はセンター試験のようなものと思ってください。

新しい入試制度で「基礎テ」や「入学テ」に当たります。

思考力・判断力・表現力

「知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等」は、中高一貫校の適性検査見ればイメージが沸くと思います。

「入学テ」の一部に、このような問題が出題される可能性が考えられます。

また、将来の大学入試のあり方を“先取り”しているといわれる、東京大学の推薦入試(グループディスカッション・プレゼンテーション・個別面接・小論文など)で行われたことも、一部の大学では取り入れられるはずです。

参考:東京都立桜修館中等教育学校の平成28年度の「適性検査1」と「適性検査2

主体性

「主体的に学習に取り組む態度」は、面接・推薦書・在学中の主体的活動(ボランティア活動など)・学習計画書などが判断材料になると考えられます。

これから求められる能力

国がスーパーグローバル大学創成支援していることからも、「英語運用能力」が今以上に要求されるようになることが予想されます。

「学力の三要素」と「英語運用能力」を考えると、これからの子供たちは、次のような能力を身に着けておくべき必要があると私は思っています。

  • 自分の考えを分かりやすく説明する能力
  • 自分の気持ちを相手に伝えられる能力
  • 答えのない問題に自分なりの答えを出せる能力
  • リーダーシップが取れる能力
  • 感情をコントロールする能力
  • 多少のことではへこたれない能力
  • 自分のことを大切にできる能力
  • 英語運用能力
  • 主体性
  • 体力
  • 教養

やるべきことは多くなりますが、コミュニケーション能力を高めながら基礎学力をつけていけば自然とこれらの能力は身につくはずです。

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