今回は、ブログを本格的に書くことを決めてから、久しぶりに買った子育て関連の本です。
かなりの本を読んできたので、「もうこの手の本は不要かな」と思ったのですが、買ってよかったと思いました。
この本のタイトルから「勉強をさせるようにする」、という内容だけが書かれていると思うでしょう。
しかし、小学校高学年から中学生の子育てに悩んだ親が読むことで、子供との関係が改善されるキッカケが見つかる内容にもなっています。
著者の略歴には法学博士と書いてありますが、心理学の知識もかなり持っているはずです。
「あっ、これは特に触れていないけれど心理学の知識を活かしているな」というものがところどころ見られます。
特にカール・ロジャーズの考えを基にしている部分が目立ちます。
また、筆者は塾での指導経験も長いようです。
この本は、筆者の塾講師としての経験と心理学を基に、子供の成長に良いと思われるこが集約されています。
勉強のさせ方だけでなく、子育てに有効と思われる心理学がたくさん詰まっているので、かなりお勧めできる本です。
特に第二章の「子どもと信頼関係を築くための言葉」と第四章「受験生に行われる言葉がけ」は子育てに悩んでいる親に是非見てもらいたい内容になっています。
なお、この本は勉強をする子を前提に書いてある部分も多くあります。
勉強を全くしない子を勉強に持っていくのは、この本を読んでも簡単にはいかないと思います。
「勉強を自ら進んでやる子にする」も少しは参考になると思うので気になる方は見てください。
本の良さを一番分かってもらうには、各項目に書かれてある表現をそのまま載せることが良いと思ったので、以下、本文の言葉を引用します。
目次
第一章 言葉には、魔法の力がある
- 子どもに響く言葉でなければ意味がない
- 主として言葉の力の影響を受けるのは「言葉の受け手側」
- 大人である親の願っている「ちゃんと」というイメージと、子どもが思う「ちゃんと」のイメージが微妙にずれていることに、たいていの大人は気づきません
第二章 子どもと信頼関係を築くための言葉
- 「~しなさい」はいったんすべて封じ込める
- 子どもの「キックミーゲーム」に乗ってはいけません
- しゃべらず見守る
- 変わるか変わらないかの責任は子どもに委ねる
この章では親が子どもにガミガミ言っても暖簾に腕押しということを、“ズンッ”と分からしめてくれます。
本に書かれてあることをすれば100%効果があるとは言えませんが、やってみる価値はあります。
「何をやっても子どもは変わらない」ではなく、辛抱強く子供を信じて待つということが大切なのかもしれないです。
第三章 子どもを勉強させるための言葉
- 間違うこと、失敗することを肯定する
- どんなことでも、まず聞く耳、聞く姿勢を持つ
- 目的、目標を定めることの重要性を教える
- 「おー!!60点か。でも、半分以上取れているね。あと40点分も賢くなれるね」
- 結果がすべてではない。行為のプロセス、努力を評価し、ほめる、驚く
- 「できるかできないかではなくて、やるかやらないかが問題なのだよ」
- 達成度に対して、抽象的にではなく具体的に驚く
- 「成功の理由」、「失敗の理由」をはっきり子どもに伝える
- 人格を否定するのではなく、子どもの「行為」を正す
- 第三者が褒めていたことを伝える
- テストというのは解答の内容がどうであるかが一番重要
- 子どもの言い訳や都合の良い解釈を、ストレートに批判しない
- 前向きに行動できる選択肢を二つ投げかける
- ハードルの低いところから手をつけさせる
- 「休むことができるというのも大事な能力の一つ」
- 過去の失敗ではなく、将来への一歩を意識させる
書かれてあることはすべて納得できます。
しかし、これを親が実行するにはかなりの努力をしなければ実行ができないと思います。
最初は、「こういう考えもあるのか」「これってうちの子に使えるんじゃない?」という感じで気楽に読んでください。
そして、1つずつ使えると思ったことを実践に移していきましょう。
「ここに書かれてあることを実践したとしてもいきなり子供が変わることはない、少しずつ子供が成長していけばいいや」という気持ちでいると楽になるはずです。
第四章 受験生に行われる言葉がけ
- 甘えのフィルターを除かなければ、子供に言葉は通じない
- 子どもの行動に合理性を求めすぎない
- 親は、自分の行動が「叱る」ためにやったことなのか、腹が立ち『怒る』行動に出てしまったものなのかを自省し、その後は少しでも抑制できるよう心掛けなければならない
- 「教えてあげようか」は子どもが勉強しなくなる言葉
- 手がかからない真面目な子どもにこそ言葉がけを
- ゲーム・テレビを合理的に抑える
- 受験よりももっと大切なものがあることに気づかせる
- あなた自身がまず、子どもに信頼される大人になる
「成績が伸びない」「勉強をしない」と子どもに不満を持っている親のほぼ全員が、勉強をしない子供を見て腹を立てて怒っているだけです。
子どもが自分の思い通りに勉強しなければ怒り、成績が伸びなければ怒ります。
定期テストの点数が上がった下がったに一喜一憂している親はほぼ100%怒っているだけです。
子どもが勉強しないのはほぼ間違いなく家庭環境が影響しています。
子どもに勉強をさせたいのであれば、最初に変わるべきなのは親かもしれません。
第五章 これからの「勉強ができる子」への言葉がけ
この章では、「公立中高一貫の子どもには、“公共性”が強く求められる」ということを10パターン例示し、家庭でどのような言葉がけが有効かを深めるものになっています。
公立中高一貫校については、同じ著者が書いている本をお勧めします。
公立中高一貫校に進学をさせようと思っている人は絶対に読んだ方がいいです。