入試直前期になると何が出題されるか予想をしてもらいたいという人が増えてくると思います。

果たして入試問題の出題予想をする必要はあるのでしょうか。

    出題予想をすべきか

    何が出されるかなんて誰にもわからないのですから出題予想をするだけ無駄です。

    「何が出るでしょうか?」「何が出やすいですか?」と聞かれても、出題者以外がそんなこと分かるわけありません。

    私が現役生だったときの話なのですが、西南を第一志望にしていた友達が、河合塾の青木先生から「今年はこれが必ず出る」「こことここが狙い目」と言われ、それを必死でやったらしいです。

    結果、カスリもしなかったとのことです。「青木を信じたのがダメだった」と言っていましたが、人気講師の予想もまったくあてにならないということの証明です。

    また、某予備校の今年の日本史の入試直前講座で講師が言っていたセンター出題予想もまったく意味なしだったと聞きます。

    私が大手塾にいたときの話にも触れておきます。

    塾講師なり立ての私は、いろいろな先生の授業見学をさせてもらっていました。

    理科の授業である講師が「今年はこれが出る可能性が高い」と生徒たちに言っていました(数年分の過去問をチェックしたのでしょう)。

    しかし、福岡県の理科の出題形式からすれば、適当に言ってもその範囲が出る可能性が十分考えられます。

    福岡県の公立高校入試(理科)なら10個予想すれば5個も6個も当たることだって起こりえます。

    予想など所詮そんなものです。

    予想を10個して、たまたま1個が当たれば「去年はここが出題されると予想して的中した」などと言うんです。

    「そりゃ、公立高校入試問題で10個くらい予想したら偶然1個は当たるでしょ…」といいたくなります。

    ちなみに、上で上げた西南を第一志望にしていた人は、結果不合格になり福大に行きましたが、年商数億円を稼ぐ社長さんになっています。東大に合格した人よりもすごいですよね。

    予想をする利点

    予想をすることの利点が一つだけあります。

    受験生は、直前期は何をしていいのかわからなくなります。

    あれもこれもやらなくちゃいけないと思ってすべてが中途半端になってしまうこともあります。

    そういう時に、「これが出るからやっておけ」ということを言われると、「先生が言っていることを信じて勉強をしよう」と集中して勉強をすることができるようになることがあります。

    私が塾生以外の誰かから「何が出ますか?」「何をすればいいですか」と聞かれたら、「学校や塾の先生が予想しているものがあるならそれをやりなさい」と言います。

    そのような質問をしてくるということは、何をしていいのか分からず不安になり、あれこれと手を出して集中して勉強ができていない状況にあるはずだからです。

    集中できずに時間だけが過ぎてしまう状況になるくらないなら、予想をしてあげて勉強に集中させる方がよいですからね。

    大手塾の高校入試対策直前問題

    大手塾は過去の公立高校入試問題を徹底研究しています。

    公立は私立と違いどの高校を受けても問題が同じなので、塾は1つのテストに合わせて問題を厳選できます。

    つまり、塾で解いている問題自体が予想問題そのものなのです。

    だから、大手塾に通っている人は「何が出ますか?」と聞く必要もなく、与えられた問題を解いてそれを復習すれば効率的な勉強ができるのです。

    講師が勝手に行う出題予想はあてになりませんが、大手塾が作成している公立高校対策用の冬期講習のテキストや直前対策問題は役立ちます。

    でも、大量の問題を解かせて、その一部が偶然当たったからと言って「英語の大問4(1)見事的中」というようなものを見ると、「そんなことをわざわざ書かなくても塾のすごさは分かりますよ」と、言いたくなってしまいます。

    自分で何も考えようとせずに、権威のある人が言ったことがすべて正しいと信じ込むような人が、こういう言葉を見て素直に「すごい」と思うのでしょうか?

    市販の参考書で対策

    市販の参考書は自分が住んでいる地域に合った問題でないことが大半なので、それをやったとしても効率的に点数を伸ばすことは難しいです。

    入試直前期に、普段使っているテキスト以外に「入試直前対策なんちゃら」などといったものをやるくらいなら、直近3~5年分の過去問を繰り返し解いて、何を聞かれても100%答えられる(知らない人に説明できるレベル)ようになったほうがよっぽど合格に近づきます(これは特に中堅以上の高校を目指している人に特に勧めます)。

    入試直前期1・2か月くらい前に大型書店(天神のジュンク堂)に行くと、入試直前期用の参考書を何冊も手に取っている方を見ますが、「あ~あ、ただ勉強をさせればいいだけじゃないのに。受験勉強を分かってないな~」と心の中で思ってしまいます。

    独学で勉強するなら、入試直前期に頼るものは過去問と今まで使ってきている参考書以外ありません。

    過去問を利用する

    難関私立高校受験にしろ大学受験にしろ、普通の受験生なら過去問を使った勉強をしているはずです。

    過去問を解いていれば、どのような問題が出されるか傾向がつかめているはずです。

    当然、過去問に沿った復習をすれば、出題予想など意識しなくても勝手にできてしまいます。

    過去問を解いて自分が苦手な個所を把握し、普段使っている参考書を利用して知識の定着や演習をする。

    この繰り返しが効率的な勉強法なのに、やっている人が少ないような気がします。

    なお、直前2週間くらいまでには過去問を利用した勉強を終えるべきです。

    直前2週間は、演習の時間は最小限に抑え、暗記を重視するべきです。

    過去問を使った勉強ができていれば自分が何をすべきか把握できているはずなので、迷うことなしに勉強ができるはずです。

    公立高校入試の過去問