子どもたちの読解力を高めるためには時間をかけるしかない

AI vs. 教科書が読めない子どもたち』で、多くの子供が教科書の内容すら理解ができていないという現実が書かれています(著者である新井紀子さんは結構過激な発言があり、賛否がありますが、様々な意見をどう受け止めるかは自分で考える必要があります。ただ、文章を読めていない子が多いという事実には誰も否定していない)。

私も、子どもたちが問題を、国語だけでなく数学・理科・社会も含め、解くとき「そもそも設問の意味を理解していないのではないだろうか?」ということを前々から感じていました(偏差値60を超えている子でも、「えっ?」と思うことが稀にあります)。

単に、面倒がって設問を読み飛ばしているだけであれば

「書かれてある内容がどういう意味なのかを理解しようとしながら読みなさい」

「設問を読み飛ばさずにしっかりと読みなさい」

と言うだけで急に問題を解けるようになることもあります。

しかし、読むことが苦手な場合、それだけでどうにかなるほど、コトは簡単ではありません。

※私自身も読解力があるとはいえず「どのような教育が「よい」教育か」「国語教育の危機――大学入学共通テストと新学習指導要領」などを読むと、相当時間をかけて読まないと、何を書いているのかちんぷんかんぷんです。

 

どうすればいいのか・・・

「何かものすごい勉強法があって、こうやったら誰でも瞬間で読めるようになる、問題が解けるようになる」

というような神業技法があるかもしれない・・・

「読解力を育むには一朝一夕にはいかない」ということは分かっていても

「もしかしたら・・・」

と、

結局

「こうやればすぐに読めるようになる。すぐに理解できるようになる」というものはなく、

「時間をかけて読めるようになっていくしか方法はない」

「無いものを探してもいつまでたっても見つからないから、もうあきらめよう」

「裏技なんかない」

「テクニックを使おうとしても使えないし、テクニックに頼ろうとすれば読解力が身につかない」

という結論になりました。

 

この結論に達するのに一押しをしてくれたのが「東大生やその母親が語る『合格体験記』の信頼性が高くない理由」です。

この1ページ目で引用されている「Beyond college rankings: A value-added approach to assessing two- and four-year schools」を途中まで読んで

「あ~、今、自分、全く読んでいない」ということに気づきました。

難しい単語はありませんし、意味を理解することはそこまで難しくないにもかかわらず、読んでいるのに読んでいなかったのです。

「日本語を読むときと違い、意識しないと理解できない単語が多い、つまり語彙力がない状態で読んでいるのと同じ状況で読んでいるのでは?」

「日本語の文を読むのと違って、文の構造を把握することができているようでできていないのでは?」

「これと同じことが子供たちに起こっているかもしれない」

と直感的に感じました。

 

言っている意味がよくわからないと思うので、以下の英文、(『英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現』P277から引用)を読んでみてください。

Arranged marriage usually allows couples a limited time to get to know each other, which can end up in an unsuccessful marriage.

おそらく、高校生以上であればこの英文を口に出して読むことはできると思います。

しかし、書かれてある内容をさ~っと目を通して瞬間で意味が分かるかと問われれば「意味は分からない」という人が多いはずです。

一言で言うと「字面を眺めることしかできていない」ということです。

これが、教科書を読むことができない理由に近いものなのではないかと私は感じたのです。

 

この英文を口に出して読むことができても内容を理解できないのは、

英単語・英文の構造が、普段から英語を読んでいない人にとっては難しいからです。

これを「教科書が読めない」に無理やり当てはめると、

「英単語が分からない」=「語彙力不足(言葉の定義が理解できない)」、

「英文の構造が把握できない」=「主語・述語・修飾語がどのようにつながっているか分からないので勝手な解釈をする」

ということになると思います。

 

このようなことが、国語の文章題を読むときだけではなく、

数学・理科・社会の問題を解くときにも起こっているとしたら

問題が解けるわけがないですよね。

 

では、どうすれば読解力を育むことができるか、

「論理的に読めべ読解問題は誰でも簡単に解ける」という類の参考書を読んでも何もできるようになりません。

「論理的に読む」系の本は、書かれてある内容が理解できるということが前提にあるので、書かれてある内容がそもそも理解できていなければ、論理的に読むことは無理です。

上の英文を意味も分からず読むのと同様、読んでいるのに実は読んでいないので読書の意味がなくなります(全く無駄とは言えないかもしれませんが)。

すでに書きましたが、「神業技法」などないのです。

なので、読解力をつけるには、

「普段の生活で多くの言葉に触れ(これは、家族の会話も影響してくると思います)、読書(年齢に合った内容の)をする」

多くの人が主張していことと全く同じだとは思いますが、結局はこの2点が読解力を養うために重要になると思います。

文章をしっかり読んで自分の力で理解をできるように普段から意識するしかないというわけです。

読解力は一朝一夕でどうにかなるものではないので、少しずつ、着実につけていきましょう。