世間では、これからさらに進むであろうグローバル社会で生きていくために世界の共通言語である英語を使いこなす力が必要だといわれています。

それを真に受け、日本語もまともにしゃべることができない幼稚園のころから英語を学ばせようとしている親も少なからずいるはずです。

ダブル・リミテッド

いろいろな本を読んだうえでの受け売りになるのですが、第一言語の習得が中途半端なときに中途半端に第二言語を学ばせると、10歳くらいからとんでもないことになるかもしれないと主張する人もいます。

これは、脳の発達段階が関係しているみたいです。

2歳~7歳くらいまでは、ピアジェという心理学者の言葉を借りると、“前操作期”という論理的に物事が考えられない段階にいます(ピアジェの考え方は現在批判を浴びることが多いが、発達に一定の段階があることは事実)。

8歳~10歳くらいから“具体的操作期”という段階に入り、論理的に物事が考えられる段階に入ります。

ダブル・リミテッド(2つの制限)という言葉を聞いたことのある人もいると思います。

具体的操作期までに第一言語が中途半端な状態だと、論理的思考が身に付きにくい(英語も日本語も中途半端になる)ということがダブル・リミテッドです。

つまり、第一言語も第二言語も中途半端、論理的思考も身に付かず、感覚だけで会話をし順序立てて物事の説明をすることができなくなる可能性があるらしいのです。

脳の仕組みは複雑なので、現代でもわかっていないことの方が多いです。つまり、これはあくまで仮説でしかありません。早期教育に賛成する研究者もいます。だから、信じるか信じないかはそれぞれで判断するべきです。

しかし、日本語も英語も論理的思考も、すべてが中途半端になってしまう可能性の方が高いという考えの方が有力です(私がそのような本を好んで読んでいるだけという可能性もありますが)。

0歳~7歳の間に中途半端な英語の勉強をさせることは避けるべきだと私は思います。

今後、脳の仕組みが解明されることで考えが変わるかもしれませんが、現時点で、私は英語の早期教育には反対です。

小学校4・5年からで十分(中学1年からでもよいですが、小学校5年から教科科になったので仕方がありません)です。

なんでもかんでも早ければ良いというわけではないと思います。

英語熱が起こるのはなぜ?

厳しい言い方をすると、親が何も考えずに「英語の4技能が大切になる」という言葉だけを聞き、デメリットを考えずに、サービス業者の良い鴨になっているからです。

「周りに英語を習わせている家庭が多い」「英語は早く勉強しないと身に付かない」「英語を話している他の子を見て不安」このような親の心理に付け込んでいるとしか私には思えません。

おそらく英語を中心に話す幼稚園に入れば、数日後には自然に英単語が会話の中で出てくると思います。そして数か月後には簡単な英語ならしゃべることができるようになるでしょう。

これは当然のことです。小さい子供の脳がそのようにできているからです。

親はそれを見て、「すごい!!」「絶対に今後は有利になる」と思うことでしょう。

残念ですが、上述した通り、徹底した英語環境になければ全てが中途半端になる可能性の方が高いです(仮説ですが)。

小学校高学年になるころには英語が苦手になっているかもしれません。

早期教育をする家庭は教育熱心であることが多いので、強制的に子供に勉強をさせている可能性も高いです。

そうなると、英語だけでなく勉強全般が嫌いになるかもしれません。

親が子どもを大切に思うのであれば、何も考えずに教育を他人任せにするのではなく、親が真剣に勉強してください。

そして、何が正しいのか自分で判断してください。

有名小学校や有名中学校に通わせることが、子どものためになるとは限りません。

勉強をさせるだけが全てではありません。

参考:英語ができるだけでは意味なし

瞬間通訳機ができたら?

AI技術が進歩することで、誰にでも手が届く価格で瞬間通訳機が世の中に浸透するはずです。「そんなのはまだまだ先」と思う方も多いかもしれませんが、おそらく10年以内にはそうなっていると思います。

神戸新聞社が高性能同時通訳機に関することをユーチューブにUPしています。

当然、このスピードでは通訳はできても言外に含んだニュアンスをつかむことができないので、会話を楽しむことはできません。

しかし、このレベルの通訳機ではなく、本当に瞬間に翻訳ができニュアンスまで分かるような翻訳機ができたとしたら、絶対に外国語を学ぶ意味がなくなると思います。

いま、大学受験では当たり前のように英語の試験が行われています。

「4技能が重要」というフレーズで「もっと使える英語を身につけよう」と英語の勉強を半ば強制的にさせていますが、20年後はどうなっているか楽しみですね。

2020年には電子辞書を買う程度の値段で同時通訳機が買えるようになるかもしれないです。

私の予想では、外国語の勉強をする必要がなくなり、いかに論理的に話せるかのほうが重視されるようになっていると思います。

ただ、論理的に話さなくても論理的にしてくれる機会も開発されると思います。人間の脳内にパソコンを埋め込んで知識を覚えるということが全く無価値化する時代が来る可能性も近いはずです。

このまま科学技術が発達し続けたら人間が勉強をする意味がなくなる時代が来るかもしれないですね。

少し怖いですよね。