地方国立大学の文系学部の英語がどの程度の難易度なのか
簡単に書いておきます。
目次
「まったく解けない」というほど難しくはない
とりあえずここ2週間で
佐賀・大分・宮崎・長崎・鹿児島・熊本・琉球大学などの地方国立大学の過去問を
パスナビで見てみたのですが
そこまで難しくない
というのが実感です。
ただ、難しくないといっても
西南学院大学の英語の問題と比べたら
どの大学も
かなり難しい
です。
部分部分を見たら
これは点が取りやすい
と思えるものはありますが(西南で5割取れなければ、そのレベルの問題すらまともに解けないと思いますが)
全体を見れば
比較できないほど難しいです。
単語の難しさ
西南と比べると間違いなく使われている単語は難しいです。
私が推しまくっている「ターゲット1400」だけでは対応するのが難しいかもしれません。
1400を完璧に覚えていればある程度問題は解けると思うのですが
「この単語を知らなかったらちょっと厳しいかもしれないな」
というものがいくつかでてくるので
合格点を狙うとなると1400では厳しいかもしれません。
なので
佐賀大・宮崎大学などの地方国立を受験するなら1400よりも一つ上の単語帳を使うようにしてください。
※ 1400レベルを知らないのなら、それから始める必要があるということは言わずもがなです。
文法
文法単体で問われる問題は私立よりも少ないので細かい文法を覚える必要はないと思いますが
読解をするために基本文法の理解は必要なので
文法の勉強を一切やらないということは危険です。
高校2年が終わるまでに品詞・5文型の理解をするのは当然
英文に出てくる不定詞・分詞・分詞構文・関係詞がどのようにつながっているのか判断できる程度の文法は覚えておきましょう。
3年になってから英文法の勉強をしていては
国立入試はやることが多いのでとてもではありませんが
間に合いません。
「いや、文法やってなくても全体要約・部分和訳はできるし」
と言っている子がいるとしたら
自分がそう思っているだけで
実際は出鱈目な訳しかできていないこともあるので気を付けてください。
英文
英文は
難しくて全く読めない
ということはありませんが
少なくとも
西南レベルの英文を余裕をもって理解できる実力は必要になります。
西南の問題で50点すら取れないのであれば
共通テストが終わってから1か月くらい対策をしたところで、どうにもならないはずです。
というのは
西南の問題で50点すら取れない実力だと
まったく英語が読めていない証拠になるので(西南のように簡単な英文が読めないようでは国立二次の英語を受ける資格はそもそもないと思ったほうがいい)
基本からやり直す必要があるからです。
仮に
細かい文法を無視して長文を読むために必要な文法を中心にやり直したとしても
1か月で間に合うとは思えません。
もし英文を多少は読めるようになったとしても、英作はできないはずです。
国立二次の合格最低点は5割くらいになるところが多いですが
西南の問題が解けない程度の実力しかないなら
1か月で基礎をやり直し、英作文が出来るようにはならないのので
5割取るのは相当厳しいです。
つまり
共通テストでぎりぎり合格できるかどうかの点を取れたとしても
国立文系学部の多くは英語ができなければ
二次試験で挽回することができないので合格もできない
ということになります。
和訳・要約
受験生は気づけないと思いますが
採点側からすると
英文がほとんど読めていないのにフィーリングで和訳・要約をしているな
というのは
ほぼ確実に見抜けます(主語と動詞の関係がつかめておらず、単語と単語を結び付けているだけという文は日本語訳を見た瞬間に分かります。うちの塾の授業でも「なんでこの訳がダメなんですか?先生が訳したものと似たような意味だからいいのでは?」という質問を受けることがありますが、全然違うんです)。
採点者から「この解答者は分かっているな」と思われ解答を書けるようになりたいなら
基本文法の理解と英文解釈の訓練をしっかりとしてください。
共通テストで出される英文はある程度読めているから大丈夫
なんて思っている受験生は甘いです。
共通テストのような簡単な英文がギリギリ読める程度では国立二次の英文では話になりません。
舐めずにしっかりと勉強をしてください。
また
答えは実際に書くようにしてください。
予備校・塾に通っていない受験生の中には
頭で訳せているから和訳も要約もできる
と勘違いしている子が多くいると思いますが
たとえ時間がかかったとしても
必ず自分で答えを書いてください。
それを惜しんでいたら絶対に本番でほとんど何も書けずに終わるはずです。
英作文
30字~150字程度の英作が要求されるので
対策なしでは太刀打ちできないはずです。
英作文は市販の参考書を利用してもなかなか対策を取れないはずです。
塾・予備校に通っていない受験生は
必ず学校の先生に添削してもらうようにしてください。
また
自分の実力以上の英作文はできません。
自分が頭に浮かんだことをそのまま英語で書こうとしてもうまく書けないはずです。
そのようなときは
自分が理解できている文法と覚えている単語・表現だけを使い
頭に浮かんだことと同じことを簡単に表現する訓練をしてみてください。
そうすれば英作文で0点になることは避けられるはずです。
全くどうでもいいことですし
自分の実力を公にしたないのですが
正直に話すと
私は英作の勉強をほとんどしたことがないので、現時点では問題を解いても満点解答どころか半分ももらえなかもしれません。
これが大手予備校の講師との違いか・・・と悔しい気持ちになります。
受験英語は西南・福大の研究しかしていないから・・・
という言い訳をしたくなるのですが
今回を機会に、国立の英語もできるように勉強をしようと思いました。
背景知識
背景知識があるかないかで英文の読みやすさが変わってくるはずです。
西南学院大学もある程度背景があったほうが読みやすいものもあるのですが
その比にならないくらい、国立二次の英語は背景知識が重要になります。
- 心理学
- 哲学
- 経済学
- 文化人類学
- 社会常識
こういった知識があるかないかが合否を決めることになる
といっても過言ではありません。
受験勉強をやるのは当然、ニュースを見たり、新聞や本を読んだりすることが合否に関わってくるわけですね。
例えば2020年の佐賀大の問題に「Third World」という言葉が出てくるのですが
この言葉を見たときに
言葉は悪くなりますが「貧困・後進国」というイメージが浮かぶくらいの知識が必要になります。
「発展途上国」と訳が出てこなければ浅い解答しかできなくなるんですね(「developing country」という単語もあるし「Third World」なんか知らなくても文脈で判断できるんじゃない?と思う人がいるかもしれませんが、受験生にはたぶん厳しいです)。
大問1はダニエル・カーネマンの実験を知っていれば比較的容易に答えが出たかもしれませんが
さすがにそれを知っている受験生はいないと思うので
この問題にまともな解答をできた受験生はどれくらいいるんだろうか・・・?
私立大学と国立大学は偏差値では比べられないとよく耳にしますが
こういうことなんですね。
高校2年までに終わらせる
国立大学はやらなければならないことが多いです。
旧帝国大学を目指している子は高校2年生が終わるまでに
英語・国語・数学のいずれか一つは合格レベルにもっていかなければ、おそらく合格は無理です。
地方国立大学も旧帝大と比べたらたいしたことはありませんが
私立大学と比べればやるべきことは多いです。
偏見かもしれませんが
地方国立大学を目指す子の相当数が
高校1・2年のときにたいした勉強をせず3年になってから焦って始めているように思えます。
地方国立大学はたいして難しくないからちょっと頑張れば合格できる
と勘違いしている高校生もいるみたいですが
たとえ地方であっても
公立トップ校に(福岡県の第五学区で言えば「筑紫丘高校」)合格する2・3倍の努力は必要になるはずです。
公立高校のように勉強をすれば誰でも簡単に8割以上取れるような簡単な問題が大学入試で出されるわけがないのだから当然です。