高校になってから急に英語ができなくなった、長文が全く訳せないと悩んでいる人に向けて書いています。

    単語を覚えるだけではダメ

    中学生の時は、文法が分からなくても単語さえ覚えればなんとなく問題が解けていました。

    一つの文が短いので、文章の内容を勝手に推測して訳をすればそれなりに意味を取ることができたからです。

    高校英語がなぜ単語を覚えるだけではダメなのか、具体的に説明していきます。

     

    いくつかの参考書でほぼ同じ形で書かれているので、見たことがある英文かもしれませんが

    次の英文を見てください。

    1. I found the book easily.
    2. I found the book easy.
    3. I found her a good book.

    これらの英訳は順に

    1. その本を簡単に見つけた。
    2. その本が簡単だと分かった。
    3. 彼女に良い本を見つけてあげた。

    です。

    1と2は似たような単語(「easily」と「easy」)を使っているのに意味が全く違います。

    「easily」が副詞で「easy」が形容詞であることが分かり、且つ、「find」が文型により意味が異なること、副詞は文型に関係ないので1は3文型、形容詞は補語になるから2は5文型。

    3は「her」の次に「a good book」という名詞句が来ているから4文型。

    このような理解ができなければ的確な訳ができるようになりません。

    「えっ、自分、品詞とか文型とか知らないけれど、なんとなく訳せんだけど」という人もいるでしょう。

    しかし、それは、この英文が短いから可能なのだと思います。

    英文が短ければ、単語と単語を勝手につなぎ合わせて無理やり意味の通る日本語に訳すことができるので、「訳ができる」と勘違いしているのです。

    私自身、現役生の時は文型を意識して覚えたことはありませんし、現役で明治・中央・西南学院大学に合格できるくらいの英語力はありました。

    しかし、高校生に英語を教えるようになってから思ったのは

    「全く英語が読めていなかったんだな」

    「文型を意識して勉強をしていれば英語の伸び悩みに不安になることはなかった」

    ということです。

     

    単語を覚えるだけで成績を伸ばすのは限界があると思ってください。

     

    なお、英文が何文型かどうかを答えられることが重要なのではありません。

    文型の理解が文の構造把握に必要で、正確な訳をするために欠かせないから重要なわけです。

    「その英文が何文型かの判断ができても意味なくね?」

    「文型の理解ができていなくても、俺、訳できるし」

    と思っている人はこの点を勘違いしないようにしてください。

    文型の理解ができていなくても訳ができてしまうのは、ネイティブレベルに英語ができている人や帰国子女くらいです。

    高校の英文読解ですべきこと

    一文が長い

    具体的な英文を例に、中学英語と高校英語の違いを見ていきましょう。

    次の英文は中学レベルの佐賀県の公立高校入試で出された英文の一部です。

    I couldn't speak Japanese very well, but you spoke to me in English and taught me some Japanese.

    公立高校入試を対象にした英語の問題の中では比較的長く、難しいです。

    しかし、長く難しいと言っても中学レベルです。

    等位接続詞「and」が単純に「spoke」と「taught」を結び付けているだけなので、単語の意味さえ分かっていれば、単語のつなぎ合わせでなんとなく訳ができてしまいます。

    これが高校英語になると次のようになります。(西南学院の入試で出された英文の一部)

    The baby at first doesn't realize that the sounds he hears are his own cries or that the moving thing passing in front of his eyes is his own hand.

    難しい単語は一つもありませんね。それでも単語のつなぎ合わせだけでは訳ができないはずです。

    英語が苦手な人は等位接続詞「or」の直後の「that S V」が前の「that S V」と結びついていることに気付くことができていないはずです。

    当然、関係代名詞の省略がされていること、that節の中のどれが主語でどれが動詞なのかにも気づけないでしょう。

    このように、中堅レベル以上の大学では英文が複雑になります。

    簡単な英単語しか使われていないのに、単語のつなぎ合わせだけで意味を捉えられないんです。

     

    この2つの英文の比較で、中学英語とは全く次元が違うことを改めて確認できたはずです。

    文法はそれなりにできるけれど、読解が苦手だから英語の成績に伸び悩んでいる人は「英文の訳ができないのは語彙力が足りないからだ」と思っているかもしれませんが、

    それが勘違いなのです。

    偏差値50以下の人は明らかに語彙力不足ですが、偏差値50台前半から成績が伸びない人は語彙力不足だけでなく、英文の構造の理解不足も原因です。

     

    なお、英文読解の勉強をしているときにイライラするのは、和訳を見ても何を言っているのか理解が出来ないことです。

    「????そもそも日本語をみても意味がわからん

    ほとんどの受験生はそういう経験をしているはずです。

    そういう場合は無理に日本語訳を理解しようとするのではなく、文の構造だけをつかむようにしてください。

    英文読解入門基本はここだ

    英語が苦手な人へ

    高校3年なのに上に挙げた西南の英文の中に、1つでもわからない単語があればかなり厳しい状況にいると思ってください。

    このレベルの英単語が分からないようでは話になりません。

    単語の暗記だけではだめですが、最低限の単語の暗記ができていなければ文法・長文の勉強ができるわけがありません

    もし、上の例文で分からない単語が1つでもあったら、文法や長文の勉強の前に英単語の暗記に力を入れてください。

    単語の暗記9割、文法1割、長文の勉強はしない、これくらいの割合でいいです。

    どれくらいのレベルの単語を覚えればいいのか迷うと思います。何をすればいいのか分からないという人は『英単語ターゲット1400』を100%覚えることを目安にしてください。

    ターゲット1400の最初のほうの単語を見るとあまりにも簡単すぎて「こんなのしていて大丈夫なの」と思うかもしれませんが、大丈夫です。

    例文に出てきた単語の中に1つでも分からない単語があれば、明らかに語彙力不足なので、自分の実力のなさをしっかりと把握し、自分に合った参考書を使ってください。

    ※ 高校1・2年生で中学レベルの単語も怪しいという人は『ターゲット1200』を使うほうが良いかもしれません。

    暗記の仕方