このページは発達障害、その中でも学習障害を中心に書いていますが、私は塾講師であり発達障害の専門家ではありません。

専門家でもないただの塾講師が、学習障害について触れるのは問題があると思い突っ込んで書くことは避けていました。

しかし、学習障害に気づかないまま悩み続けている子供たちがいることに耐えることができず、このページを利用して学習障害について私の考えを書かせてもらうことにしました。

学習障害がどういうものなのか全く分からず一人で悩まれている方は閲覧を勧めます。

名前だけが独り歩きしている発達障害ではありますが、学習障害に関してはテストの結果を見ればある程度分かります(もちろん点数だけを見るのではなく問題を解く過程や生活環境などを慎重に見る必要がある)。

※このページの検索数がとびぬけて多く、いろいろと考えることもあり「頑張っているのに勉強が全くできない」を追加しました。

勉強ができない原因が発達途中なだけの場合も

大学に入りなおして知識を付けた

開塾当初、私は学習障害の存在について知っていましたが、「そういえば大手塾にいた時にアルファベット・漢字が全く書けない子がいたけれど、そういうのが学習障害なんだろうな」という程度の知識しかありませんでした。

しかし、自分で塾を始め「やる気があれば今の成績に関係なく入塾できる」という生徒の集め方をしていることもあり、中途で体験授業をしにくる大多数の子が定期テストで平均点を取れないという状況になりました。

その子たちがテストで点数を取れない原因が単に勉強をしてこなかっただけなら、塾で勉強をすれば成績を伸ばすことはできます。

現実に、他の塾に通っても定期テストで平均点すら取れていなかった子が、いきなり5教科で平均点よりもプラス50点~80点取ることが普通に起こっています。

話を私の中学・高校時代に移します。

私は中学時代勉強をしなかったので、高校進学直後は英検5級にも合格できない実力でした。

当時は英語に関しては何をやっても理解ができず、単語1つ暗記するのにも苦労をしていました。

この経験があるので、勉強に慣れていなければ理解や暗記が遅れるということは分かっています。

私の高校時代の偏差値の推移

話を元に戻します。

しかし、学校の授業についていけなくなっている子どもに教えていると、“勉強に慣れていないことが原因ではない”のではと思えることがあります。

「自分の指導に問題があるのか。いや、何をやっても明らかに覚えられない子が現実にいる。覚えられたとしてもあまりにも時間がかかりすぎる。何十回説明をしても覚えられない。口頭で話している内容を理解してくれない。その場では理解できても。1週間後には全くできなくなっている。そのような子が、1人や2人ではない、あまりにもその数が多すぎる。“学習障害”なのか?いや、そんなに“学習障害”の子がいるものなのだろうか。“学習障害”という言葉を利用して自分の指導力のなさを肯定しようとしているだけなんじゃないか」

こんなことを悩んだ末、心理学(発達障害を中心に)をしっかりと勉強したいと思うようになり、2011年から大学で勉強することを決めました(その間、新規塾生の募集停止していました)。

私は大学でそれなりに勉強をしましたし、学習障害かもしれない子ども達にも塾で出会ってきました。

何が言いたいのかというと、“学習障害”のことを何も知らないのに適当に思ったことを書いているわけではないということです。

それをご理解のうえ、お読みください。

学習障害

平成24年の厚生労働省の調査で「学習面で著しい困難を示す」児童生徒の割合が4.5%いるということが分かりました。

この数字は前回調査と変わりがありません。【標本児童生徒数53,882人(小学校:35,892人、中学校:17,990人)】

この「学習面で著しい困難を示す」というのが発達障害の一つとされている学習障害だと思ってください。

私が中学の時、すごくまじめに勉強しているのにテストで1桁しかとってないなかった子がいたり、テストの点数の部分を折り曲げて隠している子の点数が1桁だった(偶然見えてしまったんです)ということを大人になってから思い出しました。

今考えてみるとそれが学習障害だったかも・・・と。

4.5%ということは40人クラスならば2人は学習障害の子がいる可能性があります(グレーゾーンの子(気づかれにくい子)は10%~15%くらいはいるかもしれないという専門家がいますが、個人的な感覚からそのくらいの割合でもおかしくはないと思っています(昔の学校の先生は学習障害の名前だけしか知らない人が多い)。

現実に私は発達障害の可能性がある子をたくさん見てきました。

他人事ではないのです。

極端に勉強が苦手な場合は学習障害の可能性も考えるべきだと思います。

とは言っても、何をもってして学習障害と判断するかは、専門家でない私や親はできません。

ですので、気になる方は各地域にある発達障害者支援センター(名前は地域によって異なる)で相談をしてみてください。

センターが個々の症状に応じた支援をしてくれるわけではありませんが、アドバイスをくれます。何かのきっかけになるはずです。

福岡市内にお住まいの方は「福岡市発達しょう害者支援センター」があります。

なぜ気づけない?

私が今まで見てきた子の中に次のような子たちがいました。

  • 漢字が書けない
  • アルファベットが書けない
  • 小数・分数の計算ができない
  • 計算が極端に遅く指で数える
  • 口頭で説明していることを理解できない
  • 少し問われ方が変わるとできなくなる

などです。

自分の子供が同じような状況にある方もいると思います。

中には成績が伸びないからといって塾を転々とさせ、個別指導塾に月に何万も払って通わせている方もいるのではないでしょうか。

勝手な判断はできませんが、どれだけ勉強をしても定期テストで10~30点台しか取れない場合、それが学習障害か軽度知的障害なのかは分かりませんが、何らかの問題を抱えている可能性が高いと思います。

中学1年の1・2学期の数学と英語は、たとえ家の勉強時間がゼロでも、学校の授業を聞いていれば30点以下になることはあまり考えられません。

また、30点・40点を取れる場合でも学習障害の可能性がないとは言い切れません。

できるできないに程度差があるからです。

暗記がほとんどできない場合もあれば、短期間だけならある程度暗記ができてしまう場合もあります。

説明するのが難しいのですが、例えば「がらえばげがえ」という意味のない文字の並びを暗記したとします。

このような無意味な文字の並びは、仮に少しの間は暗記ができたとしても、誰でもすぐに忘れてしまうはずです。

このような無意味な文字の並びを丸暗記するような感覚で定期テストの勉強をして30点~70点を取っている子もいるはずです。

もちろん、分からない文字の並びを単純に暗記しているだけなので、少し問題の出され方が違うとできなくなるかもしれません。

また、定期テストが終わったらすべて忘れてしまうかもしれません。

具体的に

以下のようなことも考えられます。

  • 英単語・漢字の暗記は普通にできるからスペリングコンテストや漢字テストで満点を取れるけれど、実力テストで20点・30点しか取れない
  • 社会・理科などの完全暗記科目なら定期テストで70・80点はとれるが英語・数学が極端に苦手
  • 定期テストでは平均点前後は取れるのに実力テストでは1桁
  • 科目によっては時間をかけて繰り返せば定期テストで平均点前後は取れる
  • 漢字やアルファベットは頭の中でぐちゃぐちゃとして混乱して覚えられないけれど記号問題ならなんとかできる
  • 瞬間の暗記はできるが1週間たつと1度覚えた内容であること自体を忘れている
  • 英語以外はある程度できてしまう、数学以外はある程度できてしまう
  • 国語の文章を読むことが極端に苦手だけれどほかのことはできてしまう
  • 授業をまじめに聞いているのに口頭で説明されことがあまり理解できない
  • 問題を読んでも何が問われているのかを理解することができない
  • 何もわからないので全科目20点以下
  • 字が読めないくらい乱れている
  • 小さい枠に字を書こうとしてもはみ出してしまう

どの場面で学習に困難さを感じるかは、個人差があるのです。

アルファベットや漢字が全く覚えられないような場合、親もそれとなく「もしかしたら」と感じることができると思います。

しかし、そうでない場合「他の教科ができるなら英語も数学もできるでしょ。なんで勉強しないの?もっと本気で努力しなさい。勉強のやり方が間違っている。できないわけがない」と親が言ってしまうことが考えられます。

ただ「やれ」とだけ言われても、できないものはできないんです。

もちろん、何をもって学習障害なのか専門家以外が勝手な判断をすることはしてはいけません。

しかし、何かが違うということは分かるはずです。

親は学習障害について最低限の知識を付けるべきだと思います。

そして、不安に思う場合は専門家に話をするなどして、子供に適切な対応をしてもらいたいです。

少し趣旨の違う本ですが「ケーキの切れない非行少年たち」は読んでおいて無駄にはならないと思います。

定義があいまいなので学習障害という言葉を使っていますが、多くの方が思っている学習障害の症状は軽度知的障害の症状の可能性であることも考えられます(軽度知的障害については「りたりこ」の記事が読みやすいと思います)。

塾講師として

私の塾のHPに「成績が伸びない可能性が高いと思われる場合、『成績を伸ばす自信がありません』と素直に伝えさせてもらいます」と書いていますが、実際は極端に勉強が苦手かどうかはすぐに分かる場合は少ないです。

仮にその場で「もしかしたら」と感じるほど極端な状況だったとしても、何の検査もなしに素人である私が勝手な判断をすることはできません。

なので、仮に「もしかしたら」と思える状況だったとしても、素直に伝えることは実際にはしていません。

それでも、あえてそのように書くようにしたのは、「やればできる、必ずできる」というキャッチフレーズを使っていたことで、大手塾や有名な個別指導塾をあちこち回っても成績がなかなか伸びない子が、最終的に私の塾にくるという方が多くいたからです。

このように書くことで、「成績を伸ばせないのを学習障害のせいにするような塾には入れられない」と思う人が増えたのかどうかは分かりませんが、問い合わせは予想通り激減しました。

努力不足や勉強のやり方を間違えていることが原因で成績が伸びないのであれば、塾の指導で成績を伸ばすことは可能です。

事実、勉強をしてこなかったことが原因で成績が悪かった子が他塾から移ってきた場合、ほぼ確実に成績を伸ばしています。

それが可能なのは、伸ばすために何をすべきかのアドバイス、やる気を出させるための声掛け(やる気がゼロに近かかったり、人から指示を受けるのが嫌いな子はうざいと思われるだけですが)をしているからです。

しかし、成績不振が勉強不足が原因でない場合は難しいです。

「お金さえもらえれば子供の成績が伸びなくても構わない」

「成績が伸びないのは塾に来るだけで勉強をした気になっている子供に責任がある」

という考えを私ができるなら、わざわざHPに面倒なことを書かずに、どのような子でも受け入れ、授業料だけもらうこともできました。

しかし、私自身が「この子の成績を伸ばすことは難しい」と思っているのに、「成績は伸びる」と嘘をつくことはできません。

勉強が極端に苦手な可能性がある場合「学校の勉強はできる範囲で努力をし、勉強以外でできるところを伸ばすべき」というのが私の考えです(小学生・中学生の子は勉強以外でできるできないを見られるので勉強以外のことでできることを探せと言われても無理だという人がいるかもしれませんが、子どものことを考えるのであればそのような言い訳はしてはいけないと思います)。

伸びない可能性の高い(と私が思っている)子に対し、「やればできる」「努力をすれば成績は伸びる」「伸びないのは努力が足りないから」と言うことが子供のためになるとは思えません。

「学校の勉強が苦手でもできることを伸ばしていけばいい」ということを、子供に伝えることは親としては難しいかもしれません。

「もしかしたらできるようになるかも」という期待を拭えないと思います。

しかし、そうであっても努力をしても学校の勉強ができない子が現実にいるということを子育てをしている親には知ってもらいたいのです。

もう1点、継続して努力ができる子は勉強が極端に苦手な可能性があっても少しずつできるようになる部分があります。

科目によってはそれなりの点数を取る子れる子もいます(単純暗記が程度できる場合、定期テストでは取れることが多い)。

その結果を見て、「やればもっとできる」「成績が伸びないのは努力不足」と嫌がる子供を無理やり勉強させることがあってはいけないと思います。

「やってもできない」とすべてのことにおいて「自分はダメだ」と思うようになりかねないからです。

私のこのような考えが正しいのか間違っているのか分かりません。

危険な考え方だと思う人がいるのも分かっています。

それでもやはり、「できることを伸ばしてあげる」という考えは絶対に必要だと思います。

思い込みで学習障害という勝手な判断をして強いるだけの可能性もあります(だからこそ、LDの疑いを感じたら検査を受けるべきだと思います)。

LDは勉強しても無理ですか?

中学校の先生・塾の講師はLDを理解していない

「LD 塾講師 相談」という検索がされていたので私の考えを少しだけ書きます。

学校の先生はそれなりに勉強をされている方も多いはずなので少なくとも塾講師よりは知識はあると思います。

しかし、塾講師のほぼすべてが学習障害のことを知りません、知っているのは名前だけです。

相談をしない方がいいと思います。

「もっと頑張れば成績は伸びます」「基本ができていないだけで基本ができたら成績はいきなり伸びます」などと言って塾を辞めさせない方向に話が持っていかれる可能性が高いです。

ひどい塾になると「言ったことをしない。宿題をしてこない。」と言い、本人の努力不足を指摘するところもあるはずです。

本当に勉強をしないからできないのか、勉強をしているのにできないのかが分かってないのです。

仮にその子が、勉強をしてこないで成績が伸びていないのであったとしても、それは塾が勉強をさせきれていないだけで自分で自分の塾をダメな塾と言っているようなものです。

中学校の先生でさえも学習障害のことをちゃんと知っている人は少数派です(言えないだけ、関わりたくないだけということも考えられますが、1つの科目ができれば他の科目もできる、学習障害は極端にすべてができないだけという考えをしている人が多いように思えます。中学の先生は自分が受け持っている科目しか関心がない場合が多いみたいで生徒が置かれている状況を把握できていない人が多いように思えます。以前、教員免許の更新講習(発達障害に関連する内容)を大学の教授のサポート役として参加させてもらったときに学校の先生たちの講習を受けている姿を見たことがあるのでそう感じています)。

まして、お金を稼ぐことが第一の塾が学習障害の子のフォローをしてくれるわけがありません。

というより、専門的知識がなければ何かをしてあげたいと思っても何もしてあげられません。

もし、学習障害で悩んでいるのであれば、学校や塾の先生には頼らない方がいいでしょう。

学校の先生は発達障害を真剣に考えている人も多くいると思いますが、全員が信用できるわけではないので、頼るとするなら学校に定期的に来ているスクールカウンセラーです。

スクールカウンセラーのほぼ全員が臨床心理士の資格を持っている専門家です。

少なくとも学校や塾の先生よりも知識はあります。

それに、スクールカウンセラーは確実に横のつながりを持っています。

相談をすることで、アドバイスだけでなく、適切な機関を教えてくれはずです。

スクールカウンセラーに相談しにくい場合、心理学科のある大学には臨床心理センター(名前は大学によって異なる)があるはずなので、そこに相談をしに行ってもいいと思います。

対応をしてくれる大学がほとんどだと思います。

近くに大学がなければ、自分が住んでいる地域にある、発達障害者支援センターに相談をしに行くという手もあります。

学習障害親の会というものが地域にあればそこに問い合わせてみてもいいでしょう。

病院の先生に相談をするという手もありますが、実は病院の先生も発達障害(学習障害を含む)の知識をほとんど持っていないのに適当な診断をする人もいます

少し話がずれますが

福祉系の施設の職員は障害者を自分の施設で働かせるため(働かせることで国からお金がもらえるので、現在、障害者の奪い合いが起こっています)に何も知識のない先生の所に行って発達障害でもなんでもないのに発達障害と診断させて施設で働かせるという手を使ったりもするくらいです。

こういう事もあるので、どの先生が信用できるかどうかの情報が全くないままいきなり病院に行くのは危険なんです。

相談は信用できる人にしてください。