理想を言えば「自分のやりたいことを学べる学校を選ぶ」です。
しかし、多くの場合それは難しいと思います。
目次
志望校をどのように決めている?
私は高校受験の時、「合格できればどこでもいい」という理由で地元で一番偏差値が低い公立高校を受験しました(後でもっと低い高校があることを知りましたが)。
私立は兄貴が通っているという理由で選んでいます。
大学は偏差値ができるだけ高くて社会的な評価がある程度得られるだろうという理由で、早稲田・明治・中央・西南学院大学(AO推薦で慶応も)を選びました。
こんな選び方をしたら、「『夢』『やりたいこと』が何もないまま進路を決めるなんて馬鹿だろ」と思う人がいるかもしれません。
しかし、中学生・高校生が「夢」「やりたいこと」を基準にして自分の進路を決めるられるでしょうか?
「自分は〇〇が学びたいからこの学科に進学したい」と明確な意思をもって自分の進路を決められる子は少ないはずです。
おそらく
高校受験であれば
- 友達から誘われたから
- お兄ちゃんお姉ちゃんが通っているから
- 家から近いから
- 合格できそうだから
- 緩そうだから
- 勉強しなくてよさそうだから
大学受験であれば
- 偏差値が高いから
- ブランドがあるから
- 指定校推薦がもらえるから
- 勉強しなくても入れる大学だから
このような理由で志望校を決定する子が多くいるはずです。
周りの大人の大半が「偏差値ができるだけ偏差値が高いところ」と思っていたり、このサイトを見ている人からは信じられないかもしれませんが子供の進路に関心を持っていない親も多くいるみたいです。
そういう状況なのだから、子供が「夢」や「やりたいこと」を基準にして進路を決められないのは仕方がないと思います。
「何をしたいかわからない」
- やりたいことがないのに大学に進学してもいいのか
- 周りが大学に行くから自分も行くという理由で進学するのは危険じゃないか
と悩む人もいるはずです。
しかし、世の中に何があって自分が何ができるのかを考えたこともない高校生が「自分がやりたいこと」を見つけられるわけがありません。
むしろ、中学・高校のとき勉強をしたくないから「高卒で就職」すると言って、「なんとなく面白そう」「小さいときからの夢(この夢が本物なら話は変わるが)」という理由で
- パティシエになりたい
- ネイリストになりたい
- 保育士になりたい
- 自動車整備士になりたい
と考える方が危険です。
10代のころに考える夢など、夢でないことが多く、「夢」と言っているものはころころ変わります。
だから、「やりたいことがないから大学に行く」というほうが、早い段階で自分の将来を決めてしまうよりも自分の適性に合った仕事を見つけることができて良いと思います。
何もすることがないのであればとりあえず大学に進学し、大学で社会を知るためにいろいろな活動をすればいいと思います。
※ 今後教育課程が変更され、高校生が本気で自分の将来について学ぶ機会が増えれば早い段階で自分の興味・関心を見つけられるかもしれません。しかし、これからの社会は変化に対応する力がなければ生きにくくなってくるはずなので、職業を1つに絞るという考え方そのものが否定されるときが来るかもしれません。
キャリア教育は機能していないかも・・・
「やりたいことがない」で触れましたが、進路など決められないほうが普通なのです。
大多数の大人はそれが分かると思います。
中高生の時に「やりたい」と思えることがなかったり、あったとしても、当時「やりたい」と思っていたことと、今就いている仕事とは全く関連がないはずです。
中学生・高校生の時には、自分が今やっている仕事が存在することすら知らなかったはずです(「保育園の先生」「看護師」「美容師」「医者」などの専門職として働いている人くらいしか、中高生のときに「やりたい」と思っていた仕事をしていないのではないでしょうか)。
「いやいや、昔と今は違う、子どもたちはキャリア教育を受けているから『夢』『やりたいこと』を見つけられる」という反論もあると思います。
確かに、今の子供たちはキャリア教育によって世の中にどのような職業があるのかを中学・高校で少し触れることはあるでしょうが、その多くは中学生・高校生でもできる仕事です。
つまり、誰にでも代替可能な単純作業しか体験ができないのです。
ごくごく狭い部分しか見ることしかできないのです(それに自分の興味のある職場を体験ができない場合のほうが多い)。
職業体験は体育祭や合唱コンクール、遠足や修学旅行のようなイベントと同じで(これらと違ってやらされている感が強いかもしれない)、それが現実に自分の将来を考えるきっかけになる子は、子どもたちの話を聞く限り少数派です。
「スイスの職業訓練制度」「スイスでは半数以上が職業訓練を選択」(外部サイト)とその仕組みの差を考えれば、私が職業訓練を単なるイベントと言うことが分かると思います。
中途半端な職業訓練などするよりも、外部から起業家や専門職、職人を呼んで講演してもらったほうが、世の中のことをもっと知れると思う。
いずれにしろ、そうでない日本のキャリア教育においては、子供たちは、学校で「やりたいことを見つける」ということを、「やりたいことを見つけられる環境にない」状況で探そうとさせられているようにしか思えません。
こんなんだと「やりたいことがない自分って、もしかしてやばいんじゃないの?」と、かえって不安になっているように思えてしまいます。
だから、「周りの友達はやりたいことがあると言っているのに、自分にはやりたいことがない」と悩みすぎている子がいるとするなら、悩むのを止めましょう(やりたいことがあると言っている子の大半が本当にそれがやりたいかどうかなど分からないのだし)。
自分の将来が見えない不安を持つのは当たり前で、中学でそれが見つからないのであれば、どの進路を選ぶことが自分の可能性を広げられるのかを考えればいいんです。
やりたいことがないのであれば、偏差値で大学を決めてもいいんです(今の日本社会では出身大学が人生を大きく左右することは間違いない)。
そのときに、自分がやりたいと思えることを探せば(いろいろなことを学び体験する)いいんです。
あなたが勉強漬けの生活をしていない限り、それまでに見えていた景色とは違う世界が見えてくるはずです(親の言うことを真面目に聞いて受験勉強しかしてこなかった子はいつまでたっても自分が見えないかもしれませんが)。
大学生(状況によっては高校生)になったときに自分に素直に生きていくことを選べば(楽して生きるという意味ではない)、道は開けるはずです。
学びたいことがある場合
大学を選ぶとき、
- 文学部は就職先がない
- 環境系の学部にいったら就職先が限られるし転職をするときに潰しがきかない
- 商学部に行かなければ貿易系の会社に就職するのは難しい
など様々なことが言われていますが、少なくとも文系学部ならどこに進学しても就職に影響することはほとんどないでしょう(影響するのは大学名だけ)。
本気で学びたいと思っていることがあるあら、それを学べる大学を探し、その大学の教育力を自分で調べてください。
そして、自分の能力を最大限高められると思えるところに、偏差値を無視して進学してください。
本気で学びたいことがあり、その大学でしかそれが学べないのであれば、偏差値や周りの人がどうであれ、自分の能力を伸ばして一流と言われる大学に進学するよりも自分の可能性を広げられるはずです。